あみの恋は危険な香り(あみっち)

これは、まだあみ達が平和な時、新世界に来る前のお話しです。
ほんわかな雰囲気をお楽しみ下さい。


第1幕「悩める乙女は、生死をさ迷う」

ほかぽか陽気のある日のこと。
いつもなら特訓に励んでいるあみなのだが、
今日は朝から、物思いにふけっていた。
「ふぅ・・。」
何度目のため息だろうか?
それを何気に見ていたゆみかが声をかけることにした。
「どないしたん。ため息なんかついて。」
「ふぅ・・・。」
「こら、なんか返事してぇな。」
「はぁ・・・。」
「・・って、聞いてへん。」
全く反応を示さないあみに対して、ゆみかはどうしたものか迷っていた。
このまま、ほっといた方がいいのだろうか?
それにしても、あみの様子が変なのが気になる・・。
「ゆみかさん、どうしたんですかぁ?」
マルコが来て、少しほっとするゆみか。
相談する相手としては、頼りないが一人で考えるよりいいだろう。
「マルコか、まぁ聞いたってや。
 さっきから、あみっちが変なんや。」
「あみちゃんが変?」
「そうや、うちが声かけても、
 ため息しか返ってこんのや。」
「そう言えば、最近あみちゃんポーっとしてること多いですぅ。」
「そうなん?」
「はい、だからどうしてもお話ししたい時は、こうするんですぅ。」
そう言うと、マルコはあみの後ろに回り込んで、
おもむろに、あみの口と鼻をふさいだ。
「・・・って、おぃ。」
「大丈夫ですよぉ。」
マルコは、気にせず力を緩めようとしなかった。
「大丈夫やあらへん。あみっち目回しちょる・・。」
「あれ?あみちゃん、この間はこれしたらすぐに気が付いたのに。」
「この間って、そんなこと前にもやっちょるんか。」
「はい、返事がなかったんで、こうしたんですぅ。」
「あみちゃん、寝てないで起きて下さいよぉ。」
すっかり、ぐったりしているあみ。
「あ、あかん。息してへん。
 あみっち、しっかりせぃ。」
ペシペシ・・
「・・う、う〜ん。」
「あ、目を覚ましましたぁ。」
「ほっ、気ぃ付いたか。」
ゆみかは、安心して力が抜けたようであった。
「ん?おはよう。ゆみかちゃん、マルコちゃん。」
「おはようじゃないですぅ。
 もう、お昼過ぎてるからこんにちはですね。」
「そうや。こんにちは・・・って、そうやない。
 あみっち大丈夫なん?」
「え?そう言えば、ほっぺがジンジンする。
 なんでぇ?」
「それは、ゆみかさんがホッぺを叩いたからですぅ。」
「え〜。ひど〜い。」
非難の目をゆみかに向けるあみ。
「ひどいって、あんた今、目回して気ぃ失ってたんやで。」
「ふや?わたし、今、綺麗なお花畑にいたような・・。」
「綺麗なお花畑ですかぁ。羨ましいですぅ。」
「それ、メチャやぱいって・・・。」
「それにしても、どうして気を失ってたんだろ?」
「本当ですぅ。どうしてでしょう?」
「ぬがぁ!マルコがあみっちの息を止めたせいやろうが(==#)」
あまりのボケに突っ込む気力もないゆみか。
「それに元はと言えば、あみっちがポーっとしてるせいやで。」
「そうですぅ。あみちゃん、ポーっとしてましたぁ。」
「ポーっとしてる?
 ちょっと考え事してただけなんだけど・・。」
「考え事ですかぁ。」
「一体、何をそんなに考えとるんや?」
「何をって・・。はぁ・・。」
「悩んどるんなら相談に乗るでぇ。」
「乗るでぇですぅ。」
「うん。ありがとう。
 実は、好きな人が出来たの・・(ぽっ)。」
「何やて?好きな人が出来たやて!?」
「それは事件ですぅ。」
「色気0のあんたが恋かや。まぁ、めでたいこっちゃ。」
「色気0って・・。それに、めでたいって言っても片思いだよぉ。」
ちょっと、あみはむくれて見せた。
色気のなさが同程度のゆみかに言われたのが気に入らないらしい。
「応援しますぅ。」
「そやで、応援したる。で、どないな人なん?あみっちの思い人は。」
好きな人のことを聞かれて、あみは嬉しそうに話しはじめた。
「うん。元気で明るくて優しい人、一緒にいると楽しいと思う。」
「かっこいいですかぁ?」
「かっこいいよぉ。背もわたしより高いし。」
「背って、うちらより背低い人はあまりおらんて。」
「いいの!わたしがかっこいいって思ってるんだから。」
「さよけ。」
「それに魔力もかなりありそうなのよ。」
「魔力ですかぁ。」
「うん。動くステッキと話ししてるのを見たから。」
「それは、すごいですぅ。」
「なかなかなもんやな。無生物なもんに意思を持たせたっちゅうことやろ?
 半端な魔力やと出来へんな。」
「でしょ。でしょw」
はしゃぎ続けるあみ。
「ほな、ちょっくら手伝うたるか。」
「ふぇ?て、手伝う?」
今まで嬉しそうに話していたあみの顔に、戸惑いが浮かぶ。
「そうや。片思いなんやろ?思い伝えんと。」
「そうですよぉ。わたしもお手伝いしますぅ。」
「だから、手伝うって言われても・・・。」
「まぁ、まかしとき。
 あんたの思い人は、どこにおるん?」
「え〜っと、ここ何日かは近くの公園で、
 森林浴を楽しんでるみたいだけど。」
「森林浴ですかぁ。
 あみちゃん、その人とお話しされてるんですか?」
マルコに聞かれて、あみは首を横に振った。
「ううん。まだ。
 少し離れたところから眺めてる程度。」
「ふーん。なら、なんでその人のこと好きになったんや?」
「うーん。なんでかなぁ?
 公園であの人から強い魔力を感じて、気にするようになって、
 いつの間にか好きになってた。」
「一目惚れですぅ。」
「分かった。ほな、今から会いに行ったろ。」
「え?今から?」
「そや、善は急げや。」
「ま、待って心の準備が・・・。」
あみは焦った。ただ想像してるのと、実際に会うのでは話しが違う。
「大丈夫ですよぉ。私達がついてます。」
「う、うん。」
「よっしゃ。ほな行くで。テレポートや!」
そう言って、ゆみかはマルコに目配せをして、
あみの右腕に自分の腕を絡めた。
「はいですぅ。」
マルコもすかさず、あみの左腕に絡める。
「わっ、わっ、せめて歩いて・・・」
抵抗むなしく、そのままテレポートされるあみであった。

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第2幕「暖かな陽射しの中で」
所変って、ここは公園。
MST本部からさほど遠くないこの場所は、
木々の緑があふれる自然豊かな公園である。
以前、あみが強制的に「D・ドア」をされた曰くつきの場所でもある。
そんな公園の片隅から、2人の話し声が聞こえてくる。
正確に言うと1人と1本?
「フィリア殿、そろそろ次の町へ旅立つ準備をするべきですぞ。」
アンティックな杖が話しかけた。杖の名をゴリガンと言う。
「うーん。そうだとは思うんだけど、何かひっかかるんだよね。」
「何かとは何ですじゃ?」
「ん・・・・こう・・・渦巻いてる感じ?」
「確かに、この土地には強力な魔力があるようですな。
 しかし、正の力と負の力の均等が取れているようです。」
「あえてフィリア殿の力を使わずとも・・・。」
「うん。そういうんじゃなくて、もっと・・・・」
「?」
不思議そうな顔をするゴリガン。
杖でも表情は豊かである。
「ま、もう少し経てば解るんじゃない。気長にお待ちなさいよ。」
そう言って、フィリアはベンチに腰掛けた。
ほどなく小さな寝息が聞こえてくる。
「ふぅ。ただ公園でのんびりしたいだけでは・・・」
彼が杖でなければ、首を横に振っていただあろう。
そうして、柔らかな陽射しの中ゴリガンも目を閉じた。

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第3幕「恋のミッション」
ギューーーン・・。
空間が歪み、そこから3人の少女が飛び出した。
「あーん。2人とも強引だよぉ。」
「そないなことあらへん。」
「思いきりが大切ですぅ。」
「なんたって、うちは『愛天使ゆみか』やしな。」
「愛のキューピットですぅ。ゆみかさん、これどうぞ。」
そう言ってマルコが羽を渡す。
「なんやこれ?」
「見たとおり天使の羽ですぅ。ここにこうやって付けるんですよ。」
いつの間にかもう1組の羽を取り出し、自分の背中に取り付けた。
「ほら、この羽動くんですよ(^^)」
パタパタ動かして見せるマルコ。
「あ、可愛いね。それ。」
「はい、こんなこともあると思って準備していましたぁ。」
「めったにないんとちゃう?まぁ、可愛いのは認めるで。」
「ほな、うちも・・。」
ゆみかも羽をパタパタ動かしてみた。
「わぁ、ゆみかちゃん似合ってるよ〜。」
「ほんま?めちゃ嬉しい。」
「それじゃ、お披露目も終わったことだし、帰ろうか。」
「はいですぅ。」
「そやな、ほな帰ろうか・・やなーーーい!
 これからが本番やろーが、これからが。」
「ふぇ〜。誤魔化せなかったかぁ。」
「当たり前やん。そんなことで誤魔化されるわけあらへん。」
「帰りそうになったくせに・・。(ボソ)」
「なんか言うた?」
「何も言ってないよぉ。」
「それで、あみちゃんのお相手はどこにいるんですかぁ?」
「え?え〜っと。」
回りを見渡すあみ。
「あ、あそこにいる。」
そう言って、少し離れたところを指差す。
「ここからだと、よう見えへんね。」
「ですねぇ。行きましょうか?」
「待って。行く前に、どうするつもりか聞かせてよ。」
「作戦やな。ええでぇ。よう聞いたってや。」
「う、うん。」
3人は、誰が聞いてるわけでもないの小さく輪になってしゃがみこんだ。
傍目から見ると余計怪しいのだが、本人達は気づいてない。
「まず、あみがターゲットに近づく。」
「・・ターゲットって。(^^;」
「かっこいいですぅ。」
「黙って聞いとき。」
「あぅ。」
「ゆみかさん、目が怖いですぅ。」
「とにかくや。まず、あみがターゲットに近づく。」
「うん。」
「したら何か、話しかけるんや。」
「何かって?」
「何でもええ。それくらい考えたってや。」
「はぅ。」
「んで、頃合を見計らって、うちがターゲットにバインドをかける。」
「なっ!?」
びっくりするあみに構わず話しを続けるゆみか。
「で、あみが告白する。」
「その後、マルコがターゲットにハウントをかけて、OKを言わす。」
「任せて下さい。バッチリですぅ。」
「あみは、嬉しいとか言って抱きついたり。」
「ふぇ!?」
目を白黒させるあみ。
「すかさず、うちとマルコが飛び出て、『おめでと〜♪』って言うたる。」
「それで、カップル成立ですぅ。」
「どない?完璧な作戦やろ?」
「完璧ですぅ。」
「・・・・ダメ。(ボソ)」
「あん?」
「却下。そんなこと絶対ダメ〜!!(><)」
思わず声を上げて立ち上がるあみ。
「なして?ええ作戦やん。」
「ターゲットの意思がなーい!」
好きな人をターゲットと言うあたり、ゆみかに影響を受けてるあみ。
「はぁ、わたしもそうかなぁとは思ってましたけど、結果オーライかと。」
「ちっともオーライじゃないよぉ。ハウントが解けたら嫌われる〜。」
「ほな、解けたら又かければええやん。」
「(><)うぅ〜〜。」
「冗談やて、ハウントかけ続けられへんて。」
そう言って、ゆみかも立ち上がる。
「でも、どうするんですかぁ?」
のびりと立ちあがるマルコ。
「もう、二人とも何もしなくていいよ。」
「そう言わんと手伝わせてや。」
「そうですよぉ。せっかく羽も準備してるんですから。」
パタパタ羽を動かすマルコ。
「それなら、2人でこれを準備して頂戴。」
あみは、1枚の紙をゆみか達に渡した。
「なんやのこれ?」
「とっても大事なものw」
「分かりましたぁ。すぐに準備しますぅ。」
「うん。よろしくね。それじゃ、行って来るね。」
「頑張ってや。」
「ファイトですぅ。」
あみは、にっこり笑うとスペルを唱えた。
「フライ!」
真っ直ぐにターゲットに飛んで行くあみを見送る2人。
「ほな、早速準備やな。一旦戻るで。リコール!」
「あ、置いてかないで下さいよぉ。リコール!」
こうして、2人はMST本部に戻って行った。

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第4幕「夢」
フィリアは、自分が夢を見ていることを認識していた。
そう、このところ毎日同じ夢を見ている。
夢に現れるのは、白い猫。
しなやかな体を、ふわふわとした毛で覆われている。
抱き心地が良さそうである。
その猫が、フィリアの周りを近づいたり、遠ざかったりしていた。
「な〜〜にょ。おいで〜〜。」
声もかけると、猫はそっと近づいて来た。
「こいこい。」
猫は、思いきってフィリアの胸に飛び込んで来た。
「よしよし、よく来たね。」
思った通り、抱き心地が良い。
猫はフィリアに撫ぜられて、気持ちよさそうにしていた。
しばらくの間、フィリアは抱き心地の良さを楽しむ。
「どうして此処に・・・・。」
なぜか猫の姿は見えなくなり、
替わってテディベアの絵が1枚フィリアの手に残った。

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第5幕「告白」
前から柔らかな風が吹いてきた。
フィリアが目を開けると、前には一人の少女が立っていた。
背丈は、フィリアより10cmほど低いだろうか。
均等の取れた肢体を活動的な服装で身を包んでいる。
胸はまだ未成熟。
そんな少女が、フィリアを見つめたまま固まっているようであった。
「そこの少女。何か御用でも?」
「初めまして、わたしは、あみ。マジックセイバーズの一員です。」
「マジックセイバーズ?」
「マジックセイバーズは、魔力を悪用している人達と戦うために作られた組織です。」
「・・・・それで?欠員でも出来た?」
「あ、違います。用があるのは、わたし個人です。」
「あらそ。え〜〜〜っと、あみちゃん?」
「はい。」
「それで、用件は?」
「フィリアさんにお願いがあるんです。」
「お願い?ってか、私名前言ったっけ?」
「あ、盗み聞きするつもりじゃなかったんだけど、
 その杖と話しているところを聞いちゃったの。」
「フィリア殿って呼ばれてたから・・。」
「・・・へぇ〜〜え。貴方の所為だってよ?」
今まで成り行きを見守って、ただの杖を決め込んでいたゴリガンに声をかけた。
「フィリア殿が私の忠告を素直に聞いて下さる御方ならば、
 街中で話しかける必要などないのですじゃ。」
「責任転嫁?美しくない。」
2人が口喧嘩を始めてしまって、あみは居心地が悪そうであった。
「それより、フィリア殿、あみ殿がお待ちかねですぞ。」
「年よりはごまかしが多くて・・・・まぁいいや。」
「で、お願いって何?」
「あ、はい。実は・・。」
「・・実はですね。」
「あのですね・・。」
はっきりしないあみに、フィリアはいらつきを覚えた。
(何だかなぁ・・)
「先ず言って頂戴。出来る出来ないの判断もできないわ。」
フィリアの促しで、あみは意を決して告白した。
「はい、フィリアさん。わたしのお姉様になって下さい。
 わたしお姉様が欲しい!」
「!Σ( ̄□ ̄;)」
(何で私!なんで?ここは誰??私は何処!?お姉様って、えぇ!)
「なんということですじゃ。」
ゴリガンは、あきれつつも成り行きを見守ることにした。
「わたし、ここ何日かずーっとフィリアさんのこと見てたの。」
「それで、フィリアさんがとても強くて、優しいことが分かったわ。」
「フィリアさんは、わたしの理想のお姉様なの。」
「お願い、あみのお姉様になって。」
勢いで告白したあみは、フィリアの返事を待つ。
 ・
 ・
 ・
フィリアの頭の中では、ぐるぐる同じ言葉が繰り返されていた。
(何で私!なんで?ここは誰??私は何処!?お姉様って、えぇ!)
「ダメかなぁ・・・。」
あみの言葉で、ふと我に返るフィリア。
「てか、私でいいの?私、君の事よく知らないし、それは君もでしょ?」
「わたしは、フィリアさんがいいんです。」
(・・・・年下の子にここまで全幅の信頼をよせられて裏切っていいもんなんだろうか。
 いけないかなぁ。世間的にいけないだろうなぁ。自分的には問題あるんだけどなぁ。悶々。)
「・・・・わかった。姉らしい事は何にも出来ないけど、それでいいならね。」
「わぁ〜!嬉しい〜。」
あみは、フィリアに飛びついた。
結局、ゆみかに言われた通りの行動である。
「ほそ〜〜い。ちーさ〜〜いvvうわ〜。」
フィリアは、あみを受け止め、思わず抱きしめた。
ぎゅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜。
そして、フィリアは気が付いた。
毎日見ている夢で現れる猫の正体は、この娘だ。
猫のようにしなやか、そして抱き心地のよさ。
さらに力を込めるフィリア。
ぎゅぎゅぎゅ〜〜〜〜〜。
「はぅ〜〜〜。(☆☆)」
あみは憧れのお姉様に抱きしめられて幸せの中、目を回していた。
「フィフィリア殿、な、何をされているのですじゃ・・。」
あまりの展開に慌てるゴリガン。
「何って?ただのスキンシップ。」
「スキンシップ・・・。あみ殿は、気を失っておりますぞ。」
「え?」
抱きしめていた力を緩めると、ぐってりしてるあみの姿。
「わっ。ちょっと、あみちゃん大丈夫?」
「ふにゃ〜〜。お姉様・・・。」
「あ、大丈夫?一人で立てる?」
「はい、大丈夫・・。」
ふらふらしつつも一人で立つあみ。
「それじゃ、これで君は私の妹になったわけね。」
「うん。でも、やっぱり儀式をしないとね。」
「儀式?」
「そう、姉妹関係を成立させるための儀式。」
「・・・面倒だねぇ。まぁ、その方がらしいけど。」
「うん。準備が出来てるはずだから、ちょっと待ってね。」
「どうぞ。」
フィリアに確認を取ったあみは、両の手を天に向けて呪文を唱えた。

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第6幕「工作部隊?」
MST本部に戻ったゆみかとマルコは、あみから受け取った紙を確認していた。
「どうや、何を準備すればええん?」
「え〜っと、マリア像ですぅ。」
「マリア像?そないなもん、あらへんがな。」
「ないですねぇ。どうしましょう?」
「そやなぁ。ほな作ろか。」
「作る?どうやって作るんですかぁ?」
「ほな、マルコはドッペルゲンガーを召還したってや。」
「変身クリーチャーなら、バルダンがいいですぅ。」
「バルダンやと何に化けるか分からへんやろ?没や!」
「残念ですぅ。ドッペルゲンガーを召還ですぅ。」
空間がうねり、ドッペルゲンガーをが召還された。
「珍しいもんが召還されおったな。」
「何、言ってるんですかぁ。ゆみかさんが召還して欲しいって言ったのに・・。」
「そやけどな。めった見ぃへんやん。」
「それはそうですけどぉ・・。」
「ほな、次はうちが召還するで。スタチュー召還や。」
スタチューが召還され、ドッペルベンガーもスタチューに変る。
ででんとスタチューが並ぶのを見て、満足そうなゆみか。
「スタチューが2体って、変な感じですぅ。」
「あ、そこのついたて持ってきてや。」
「は、はい。」
軽いついたてで、マルコでも簡単に運ぶことが出来た。
「ありがとさん。」
「このついたて、何に使うんですかぁ?」
「これか?こう使うんや。」
そう言って、2体のスタチューの間についたてを入れる。
元の姿に戻るドッペルベンガー。
「戻っちゃいましたよ。」
「それでええんや。」
「いいのかぁ。」
「次は、ニンフを召還や。」
スタチューの脇にニンフが召還される。
「ついたてに隠しておくんですねぇ。」
「ほな、仕上げや。」
おもむろについたてをどかす。
「あっ」
ドッペルゲンガーが変身した・・。
右側がニンフ、左側がスタチューの姿に。
「失敗やね。もう1度や。」
ついたてを一旦戻し、ドッペルゲンガーが元に戻るのを待つ。
「次はわたしがやりますぅ。」
楽しそうにマルコがついたてをどかす。
またもや、ドッペルゲンガーが変身した・・・。
上側がニンフ、下側がスタチューの姿に。
「成功や。」
「これで、いいんですかぁ?台座の上にニンフが乗っただけのような・・」
「マリア像の代わりにならへん?」
「これですかぁ?また元に戻っちゃいますよぉ。」
「それやったら心配無用やで、バインドミスト〜〜!」
ドッペルベンガーは痺れて、動かなくなった。
「固まった・・・。」
「・・で、このついたてを間にまた置いてみると。」
「あ、元に戻らないですぅ。」
「よっしゃ、これ持って公園へ行くでぇ。」
「はいですぅ。」
ゆみかとマルコは、ドッペルベンガーを抱え込むようにして呪文を唱えた。
「テレポートや!」
「テレポートですぅ。」
 ・
 ・
 ・
「公園やな・・」
「さっきと同じ場所ですぅ。」
「しもうた。もっとターゲットに近いとこにしとくんやった。」
「近すぎると見つかっちゃいますぅ。」
「・・・ほな、ここでええか。」
「あっ!」
「どないしたん?」
ゆみかが目にしたのは、あみがターゲットに飛びつき抱きしめられているところだった。
「やりましたぁ。」
「うまく行ったみたいやな。」
「それじゃ、これどうするんでしょう?」
マリア像ならず、ニンフ像を撫ぜながらマルコが問う。
「もう、いらんのとちゃう?」
ちょっと残念そうにゆみかが答えた。
「あれ?あみちゃん様子が変ですぅ。」
「今度はなんや?」
再び、あみの方を見てみると、あみがターゲットから離れてふらふらしていた。
「大丈夫なんでしょうか?」
「ここからだとよう分からへんな・・。」
そして、あみが天に向けて手を伸ばしているのが目に写る。
「呪文提唱ですぅ。」
マルコが指摘した直後、それは起こった。
「な!なんや!」
突然、ゆみか、マルコ、そしてニンフ像は空中に吸い上げられた。
「ふぇ〜〜〜〜。」
「なんなんや〜〜〜〜!」
2人は、空間の歪みに飲み込まれて行った。

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第7幕「厳か?な誓い」
あみは、両の手を天に向けて呪文を唱えた。
「アポーツ!」
あみ達の上空が渦巻き、空間が避ける。
避けた空間から、声がする。
「ふぇ〜〜〜〜。」
「なんなんや〜〜〜〜!」
ばらばらと、ゆみか、マルコ、そして何か変な像が転がり落ちた。
「痛いですぅ。(><)」
「痛たたたた・・。(><)」
あみが駆け寄った。
「2人とも、大丈夫?」
「大丈夫じゃないですぅ。」
「あんたのせいやな(==#」
「ごめーん。どこにいるか分からなかったから・・。」
「さっきの場所で待機しとったわ。」
「あ、そうだったんだ。ごめーん。」
「ごめんで済んだら、警察はいらんわ。」
「ゆみかさん、あみちゃんも悪気は無かったみたいですしぃ。赦してあげましょうよ。」
マルコが腰をさすりながら、フォローする。
「うん。赦してあげましょうよ(^^)。」
「あんたが言うな、あんたが(==#)。まぁええ。気をつけったってや。」
「うん。ごめんねぇ。」
しばらく様子を見ていたフィリアだが、事態が収まったのを見て声をかけることにした。
「あみちゃん?その子らは・・・。」
「あ、わたしと同じマジックセイバーズのメンバーで、ゆみかちゃんとマルコちゃんです。」
「うちがゆみかや。よろしゅうな。」
「わたしがマルコです。よろしくですぅ。」
「はい、よろしくね。フィリアです。」
「フィリアさんですかぁ。よろしくですぅ。」
「あや?」
ゆみかは、不思議そうな顔をして辺りを見まわした。
「ゆみかちゃん、どうかした?」
「いや、あんたの思い人はどこ行ってもうたかと。」
「そう言えば、いなくなっちゃいましたぁ。」
「2人も何言ってるの、目の前にいるじゃない?」
「目の前におるって、フィリアさんしかおらへんやん。」
「ですねぇ。」
「・・・・私だそうよ。」
フィリアが、渋々答えた。
「な!(OO)、女やん!」
「女の人ですぅ。」
「そうだよぉ。さっきお姉様になってもらった(^^)v」
「お、お姉様やて?あんた、そういう趣味やったんか?」
「ビックリですぅ。」
「だよね。わたしもビックリしたし・・。」
「何言ってるの?わたしは、一人っ子だからお姉さんが欲しかっただけだよ。」
「お姉さんって、ルーじゃダメなん?」
「ルーちゃんは、同じチームのメンバーでしょ?お姉様ってイメージじゃないよ。」
「ミスティさんは、どうですかぁ?」
「チームリーダー?もっと考えられないよぉ。(==)」
「ほんでもって、フィリアお姉様かいな。」
「うん。憧れのお姉様よ(^^)」
「憧れ・・・お礼言っとくわ。」
「お姉様ですかぁ。いいですねぇ。」
マルコはのほほんと受けたが、ゆみかは納得がいかなかった。
「にしたって、あんたがお姉様って言うと変とちゃう?」
「なんで?」
「あんたやと、お姉さんって言うイメージやで。マルコがお姉様ちゅうなら合うんやけどな。」
「はい、フィリアお姉様ですぅ。」
「なんでぇ?わたしだってお姉様ってよぶ!呼んでみたい!
 ずぅっと呼んでみたかったんだもの!p(>△<)q」
「分かった分かった、そない力こぶし握り締めて言わんでも・・」
「ま、そう言うわけで姉させてもらうのでよろしくね。」
「ほな改めてよろしゅうな・・・・。にしても・・・・」
フィリアは、ゆみかの目に突き刺さる感じを受けた。
「なによ。」
「・・・胸、でか!」
「・・・世の中にはね、いろんなひとが居るのよ・・・・。(遠い目)」
「本当に大きいですぅ。」
「うん。羨ましいよね・・・。」
ペッタン3人娘がまじまじと、フィリアの胸を凝視した。
「ルーさんより、大きいですぅ。」
「もしかして、うちらの胸、フィリアさんに取られたんとちゃう?」
「え〜〜。返して欲しいですぅ。返して・・・。」
マルコの目に涙が浮かぶ・・・。
「いや、ちょっと。泣かれても困る。わたしだってあげられるもんならあげたいわよ。」
「あみ殿、姉妹の儀式はどうなったのですじゃ?」
ゆみか、マルコが加わった時から、沈黙を守ってきたゴリガンであったが、
話しの展開が変になって来たのを見かねて声をかける事にした。
「あ、はい、そうですね。」
あみが素直に返事をするが、ゆみかは驚きを隠せなかった。
「な、なんや?杖がしゃべりおった。」
「返して・・・。」
マルコは、マイペースである。
「あ、これ?ゴリガン。ものは見て解るよね?」
「わしがゴリガンですじゃ。フィリア殿のパートナーをしております。」
「よ、よろしゅうな。」
「よろしくですぅ。」
「あっ!あみっちが言うてたしゃべるスティックって、これかいな。」
こっちとか、これとか言われて不満そうなゴリガンを他所に会話は続く。
「うん。そう。」
「スティックちゅうより杖やん。」
「杖ですねぇ。」
「杖だって、スティックには違いないでしょ?」
「イメージがちゃうで、魔法のスティックちゅうたら魔法少女のアイテムやろ?」
「可愛いイメージですぅ。」
「うん。そうだねぇ。」
「杖やと、魔女やん。『ヒィヒィヒィ』って感じやな。」
「酷いこと言うなぁ。本当の魔女はそんなんじゃないよぉ。
 わたしだって、魔女になるつもりだし・・。」
また、話しがそれまくりの3人娘。
今度は、フィリアが話しを戻すことにした。
「で、あみちゃん。結局何するの?」
「あ、はい。2人とも準備してくれた?」
「はい、バッチリですぅ。」
一緒に転がり落ちたまま放置されていたニンフ像を運ぶマルコ。
「これがマリア像?」
「そうや。うちの苦心の作やねん。」
「どう見てもニンフじゃない。」
「ニンフよね。」
「ニンフですじゃ。」
「これじゃダメですかぁ?」
「(><)ダメ。これからしようとしてる姉妹の儀は、
 マリア像の前で姉から妹にロザリオを首にかけてもらうことで成立するのよ。」
「神聖な儀式なのに、なんでこんな色っぽいニンフ像でしなきゃいけないのよ。」
あみは、儀式についての想いを訴えた。
「せっかく作ったんやけどな。ほれ見てみぃ。この顔、優しそうやろ?
 サキュバスとかにせぇへんかったんやからええやん。」
「(==)サキュバス・・」
「私も、サキュバスは嫌だなぁ。」
あみも、フィリアもサキュバスの前で儀式を取り交すのを想像してげんなりした。
「サキュバスは、問題外。せめてヒーラーとか思いつかなかったの?」
「そやね。思いつかんかったわ。」
「それじゃ、これ使わないみたいですから片付けちゃいますね。」
「うん。お願い。」
「まずは、マインですぅ。」
マインでバインドミストが解け、ドッペルゲンガーに戻った。
「なしてマイン?」
「一番コストがかからないスペルですぅ。」
「それより、それドッペルゲンガーだったのね。(苦笑)」
フィリアは、ニンフ像の以外な正体にあきれながらも、どうやって変身させたのか不思議に思った。
「わたしにそんなものの前で儀式させるつもりだったのか・・(==)」
あみの嘆きをさえ要るように、轟音が響き渡った。
ちゅどーーーーん!
「ふぇ〜〜〜。」
マルコがドッペルゲンガーを回収しに行って、マインが作動したようである。
「そやから、なしてマインって聞いたんや。」
「コスト高くついちゃいましたぁ(−−;」
「あははは、あなた達見てると飽きないわ。」
「お姉様の意地悪・・。」
「ごめん、でもマリア像の代わりなら、これを使えば?」
「フィリア殿それは!」
ゴリガンが止める間もなく、フィリアはアイボリーアイドルを召還した。
ズーーーーーン。
「お、お姉様、空気が重いんですけど・・(ーー;」
「コスト過重だからねぇ。でも神聖な儀式なんでしょ?丁度いいじゃない(^^;」
「わたしはいいけど、マルコちゃんが・・・」
マイン直撃後の、アイボリーアイドルでマルコは魔力不足でヒクヒクしていた。
「だ、大丈夫・で・すぅ。」
「儀式ちゅうよりは、戦闘って感じやな。」
「これで、マリア像は代用するとして、後はロザリオだけど、準備してくれた?」
「ロ・ロザリオです・・かぁ?」
「そないなもん、うち知らんで?書いとったん?」
メモを確認するマルコ。
「あ、下の方に書いてありましたぁ。」
「ロザリオもないのか・・。」
寂しげな顔をするあみ。
「ロザリオなら私持ってるよ。ほら。」
フィリアは、自分の首にかかっていたロザリオを出して見せた。
「あ、それをわたしに下さい。」
あみは目を輝かして言った。
「えっ?首にかけてあげるだけじゃダメ?」
「誓いの記しなので、わたしがもらわないとダメです。」
「ごめん、じゃダメ。これ、おばーちゃんの形見だから。」
「形見かぁ。それじゃ、何か大切にしてるものを下さい。」
「大切にしてるものねぇ・・・・。」
「はい、お姉様の側にあるものがいいです。」
「なら、ゴリガンなんてどう?いつも側にある(笑。」
「フィリア殿。何を言っておるのですじゃ。」
「冗談、冗談。ごめんね〜〜。でも心配しなくても欲しいって言わないと思うよ。」
「うん。そんなの要らない。」
「そ、そんなの・・・酷いですじゃ・・。」
「あとはね、これ。」
「瑪瑙?」
「綺麗やん。」
「綺麗ですぅ。」
「いざって時の魔力の蓄え。どう?」
「お姉様の魔力?なら、お姉様といつでも一緒にいるみたいで嬉しいかも。」
「んで、ほら。」
そう言って、フィリアは瑪瑙を2つにして見せた。
「あ、割れちゃった。」
「割れたんじゃなくて、これは2つに分かれるものなの。」
「あ、そうなんだ。」
「中も綺麗やね。」
「ですねぇ。」
「で、この片方をあみちゃんにあげる。」
「最高〜〜〜っす!」
「っす?(^^;」
「あわわ。最高です。(ニコ」
「あみっち、よかったやん。」
「うん。ありがと〜。」
「それじゃ、これをあみちゃんに・・・」
「あ、待って。1度それを貸して下さい。」
「うん。いいけど。どうするの?」
フィリアはあみに瑪瑙を渡した。
「これって、魔力を蓄えられるんですよね。」
「そうだけど?」
「だったら・・・・□☆△○・・」
グォーーーン。グォーーーン。
あみから怒涛のごとく魔力が瑪瑙に流れ込む。
「なんですじゃ、この魔力は・・」
「うわ。なかなかの魔力ね。」
あみから迸る魔力に驚く2人。
「このペースやと、どの位や?」
「1分程度だと思いますぅ。」
 ・
 ・
 ・
そして1分。
「ふぅ。終わり〜。お姉様ありがとw」
あみから手渡された瑪瑙は、2人の魔力が注ぎ込まれたせいか発光していた。
「あぁ、なんか、いいかんじに。」
「これで準備完了よ。お姉様、こちらにいらして・・。」
「あ〜、はいはい。ここね。」
いつの間にかアイボリーアイドルの前に立ち位置が記されていた。
「それじゃ、お姉様、お願いします。」
「え〜っと、何て言えばいいのかな?」
「まず、わたしのことを妹にする宣言をして下さい。それで、証としてその瑪瑙を下さい。」
「分かった。じゃ、言うね。」
「はい。お願いします。」
「あみちゃん、あなたを私の妹にします。証としてこの瑪瑙をあなたに与えます。」
「はい、お受けします。」
「おめでとさん。」
「おめでとうですぅ。」
「おめでとう(?)ですじゃ。」
「これで終わりかな?」
「はい、お姉様〜。大好きでーす。」
そう言って、あみはフィリアに飛びついた。
「はいね妹〜〜。」
ぎゅ〜〜〜〜。
「・・って、あみっち本当にただの憧れなんか?」
「うん。憧れ・・・だよ。」
あみは、ほわわんとしていた。目がちょっと虚ろ。
「あみちゃん幸せそうですぅ。」
「フィリア殿も、あみ殿のペースに合わせなくとも・・。」
「ん、無下にするのもね〜。」
ぎゅ〜〜〜。
「お、お姉様、ちょっと苦しいかも・・。」
「あぁ、ごめん。つい。」
フィリアは、そっとあみを離す。
「ふぅ。とにかく、これで姉妹関係成立です。これから末永くよろしくです。」
「うん。ではそういうことで。」
「よっしゃあ、帰って姉妹関係成立パーティや!」
「忙しくなりますぅ。」
「そだね。パーティしないとね。お姉様、いらしてくれるでしょ?」
「フィリア殿・・」
ゴリガンの目が厳しい・・
「行きたいんだけど・・・ここに口うるさいのが居るから難しいのよねぇ。」
「あ、ご用事?なら、明日にでも。」
「それも無理。私、そろそろ、行かないと。」
「なっ!」
あみは、ショックで声を失った。
「すまんですじゃ。フィリア殿には、やらねばならん事があるのですじゃ。」
「そ、そんなぁ・・・・(ーー」
「ごめんね。」
「うぅ・・。お姉様なんて、お姉様なんて・・・。わぁーーーー。」
背を向けて走り出すあみ。
「あみっち!」
「あみちゃん」
ゆみかとマルコが追いかけようとしたその時、フィリアの澄んだ声が響き渡る。
「バインド!」
硬直したあみに、フィリアはゆっくり近づいていった。
さわやかな風に、フィリアの髪がなびき、あみのスカートもヒラヒラとめくり上がる。
「・・・あ、くま。」
あみのパンツには、テディベアのプリントが・・・
結局、夢は全てこの娘のことだったのかと思わず苦笑するフィリア。
そして、あみを後ろから抱きかかえるようにして、バインドを解いた。
「にゃにゃ!」
あみが、状況をつかむのに数秒を要した。
フィリアに優しく抱きかかえられるあみ。
「お姉様・・・・・。」
「別にあえなくなる訳じゃ無いわよ。」
「え?そうなの?」
「うん。何かあったら行くからさ。」
「本当?」
「可愛い妹だものね。」
「ありがとう。わたしもお姉様に何かあったら、飛んで行くからね。」
「そうしてくれると嬉しい。」
「フィリア殿、そろそろ。」
「・・ん。もーちょっと。」
「後、少しだけですぞ・・。」
「お姉様いいの?」
「まぁ、しばらく間が空くしね。これくらいは、ね?」
ぎゅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜。
フィリアは、あみの抱き心地の良さを、
あみは、フィリアの温もりを忘れないであろう。
ぎゅぎゅぎゅ〜〜〜〜〜。
「お姉様・・・。」
あみは、フィリアの温もりの中で失神した。

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第8幕「そして・・・」
あみが再び、目を覚ましたとき既にフィリアの姿は無かった。
「行ってしまったのね。」
「あみちゃんによろしくって言ってましたぁ。」
「元気出したってや。又、会いに来る言うてたで。」
「うん。そうだね。又、会えるよね。」
作り笑いをするあみの目から、涙がこぼれ落ちる。
「あれ?嫌だ。なんで・・。」
あふれる涙が頬を伝い、握り締めていた瑪瑙の上に落ちる。
あみの涙を受けて瑪瑙は、優しい光を発していた。
 ・
 ・
 ・
いくばかりかの時間が過ぎた。
あみがすすり泣く中、ゆみか、マルコの2人もあみを黙って見守っているしかなかった。
「なんかお通夜みたいね。」
突然、後ろから声がかかり、3人は声の方を見た。
あみの目に輝きが戻る。
「お姉様!?」
声の主はフィリアであった。
「いや〜、まいったわ。ここらの時空から抜けれなくてさぁ。」
「時空から抜けれない?」
「何回やっても帰ってきちゃってね。」
「強力な結界につつまれているようなのですじゃ。」
「そりゃ難儀やねぇ。」
「で、調べてみたんだけど、結界を張ってる魔力の波動が私のなのよ。」
「お姉様の?それってどう言うこと?」
「もっと突き詰めて言うと、私と君の波動が混ざったのね。多分犯人は・・・君?」
「え?わたし?何もしてないよ?」
いきなり犯人扱いされて、あみは戸惑う。
「あみ殿が無意識にフィリア殿を引き止めているのですじゃ。その瑪瑙の魔力を使って・・・。」
「え?そうなの?どうしたらいいの?」
「どうしたらって(笑)?ゴリガンと解決作を考えたんだけど、
 君を満足させ たら結界が解かれるだろうってことで。」
「あみちゃんの思いですかぁ?」
「簡単に言うと、もう少しの間、君達と一緒にいるってこと。」
「うそ?本当に?」
思いがけない言葉に、あみは半信半疑である。
「いいのよね。ゴリガン。」
「いたしかたありませんのじゃ。それしか、結界を消す方法がないのですじゃ。」
「無理やり結界を崩す手はないん?」
「結界とは術者と密接なもの。つまり2人の魔力で出来た結界を崩すとなると、
 フィリア殿、あみ殿が危険なのですじゃ。」
「無意識に作ってる結界だから、君の満足を満たすしか手がないってわけよ。(笑)」
「それじゃ、まだわたしと一緒にいてくれるの?」
「うん。さっきからそう言ってる。」
「お、お姉様〜〜〜〜。」
あみがフィリアに飛びつく。
「は〜〜いね。」
がっしりとあみを受け止めるフィリア。
「よっしゃ、今度こそパーティや。」
「準備を急ぐですぅ。」
「お姉様、パーティへ。」
「もちろん、参加するわよ。」
「嬉しい・・・」
こうして、姉妹関係成立パーティがMST本部にて開かれた。

なお、結界が解かれたのは、連続1週間のパーティが終わった時だった・・・・ちゃんちゃん。



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